アバシリより

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そよ風が知らぬ間に桶屋に届いた話

 みなさんこんばんは。まずはお知らせです。私が所属しているクウチュウ戦の新しいMVが公開されました。

https://m.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=89gss6GtVwQ

セクシーホモサピエンスという曲です。ぜひ覗いてみてください。では本日は小話を1つ。

 昔々あるところに、パウロくんという男の子がいました。高校生の彼は宇多田ヒカルさんという歌手が好きで部屋にポスターも飾っていました。
 大学生になったパウロくんはジャズ研という地下組織に所属することになり、そこで新しく網走という性を受けました。「ジャズ」という音楽に網走くんは魅せられていくのですが、特にその年の夏に見に行ったロバート・グラスパーというピアニストのライヴは鮮烈な印象を彼に与えました。当時グラスパーは従来のジャズにヒップホップをコネクトさせた新しいスタイルを確立し、現代まで続く「コンテンポラリージャズ夏の時代」のパイオニアとして知られていたのですが、網走くんが注目したのはそのバンドのドラマー「クリス・デイヴ」のプレイでした。このクリス・デイヴというドラマーは、モダン・ジャズ史に時として現れる既存の概念を破壊してドラムという楽器を1つ上の次元に引き上げる(しかも多分天然で)、いわば「シンギュラリティ」的存在だったのですが、JAZZのJの字も知らない網走くんはそんなことなど考えもせず、その超人然とした演奏にただただ度肝を抜かれたのです。
 2年という月日が流れ、網走くんは他大学のビッグバンド(大編成のジャズバンド)に誘われて久しぶりに地上へと出ます。そのバンドにコジマくんというピアニストがいました。彼はジャンルを問わず音楽に対して造詣が深く、大学では作編曲を学んでおり、なによりとても良いヤツでした。網走くんは多くのことを彼から教えてもらい、お礼としてクリス・デイヴのことを教えてあげました。
 コジマくんは数年の後に、旧い友人達とともに「Tokyo Recordings」という音楽レーベルを立ち上げます。そこには優秀な若手クリエイターが多くいるのですが、その中で代表を務めるオブクロくんという人に、ある日コジマくんはクリス・デイヴのことを教えたそうです。
 オブクロくんは彼自身も歌手として活動しており、昨年夏に長期休止期間から復活したあるアーティストの楽曲にゲストボーカルとして参加しました。そう、宇多田ヒカルさんです。その「ともだち」という曲でとても素敵な歌声を披露しています。
 その後宇多田ヒカルさんはオブクロくんにいいドラマーがいないかと相談したそうなのですが…もうお分かりでしょう。その時彼はこう答えたそうです。「クリス・デイヴ」と。かくして宇多田ヒカルさんはクリス・デイヴにコンタクトをとり一緒にレコーディングをすることになったそうな、めでたしめでたし。



 知り合いづたいに6人辿れば地上のすべての人達と繋がることができるという話を前に聞いたことがあります。まさかと思っていたのですが、6年越しの奇妙な数珠はこうして続いていったのです。もちろん私はクリス・デイヴはもちろん、宇多田ヒカルさんとも、さらにはオブクロくんとも話したことはありません。それでも、私はこんな可能性のある世界を前にして狭いところで閉じてる場合じゃないと、そう思ったのでした。
 そんな訳で先日数年ぶりにクリス・デイヴの動画を見たのですが、相変わらず何をやっているのか全然わかりません。日々是精進。